人気blogランキング投票 ←クリックよろです☆(^O^)/

2005年05月24日

M&Aは買収企業、被買収企業どちらが得か?!

 M&Aとは、最近ライブドアの件などで有名になりましたが、
某チョコレートのことではなく、
日本語で「企業の合併・買収」もしくは「企業買収」と訳されるファイナンス用語です。

 これには当たり前の話ですが、当然買収する側の企業と、
買収される側の企業が存在しなければ成り立ちません。

 そこで、
「買収する企業、買収される企業どちらが得な場合が多いのか?!」
の話になるのですが、まずはアメリカでの資料を基に考察してみたいと思います。

 Andrade,Mitchell and Staffrod(2001)では、
1973〜1998年のアメリカでのM&A発表日から前後三日間の
累積超過収益を求めています。累積超過収益とは簡単に言うと、
通常よりどれぐらい余分に儲かったかということです。
 ちょっとだけ難しく言うと、基本的にはリスク=リターンなので
どれだけそれを上回ったかといった感じに捕らえてもらえればOKです。

買収企業   −0.7%
被買収企業   16%

 数字が示すように、実は買収企業に置いてはほぼ±0(もしくはマイナス)の
超過収益が記録されています。

 つまり買収する企業にとって、M&Aは
企業価値をあまり高める結果に繋がっていないのです。

 逆に買収される側の企業にとっては、
M&Aは大きなプラスとなるのがこの数値から判ります。

 ではなぜ、このような結果が出るのでしょうか?
理由の一つとして、買収企業が被買収企業に対して
高い買収プレミアムを払っていることが挙げられます。

 買収プレミアムが高くなる理由として、Roll(1986)によれば

「買収者が自己の経営改善能力にうぬぼれ、
過剰な買収プレミアムを払ってしまう」
可能性などが指摘されています。

 また日本に置いては井上・加藤(2003)によれば、
現金買収(TOB)において買収企業においては0.1%、
被買収企業においては7.6%の累積超過収益が存在していると述べられています。

 買収企業より、被買収企業の方が超過収益が多いと言う点は
アメリカでの研究と整合します。

 ただし日本では買収プレミアムが平均5.1%と低いことから、
被買収企業の株価に与える効果がアメリカに比べて格段に低いです。

 よって結論としては、M&Aは日米共に買収する側が
高プレミアムを払う理由などにより、
概して買収側より買収される側の企業に旨みがあると考えられます。
 

一日一回応援クリックよろしくです☆(゜ー゜*d)(b*゜ー゜)

posted by クルサ at 02:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月18日

合併比率について

 企業の合併はアメリカなどでは昔から盛んですが、
近年、日本においても昔に比べて数多く見受けられるようになりました。
スクウェア・エニックスやハドソンのコナミ子会社化、セガ・サミーなど、
ゲーム業界に置いても様々な合併が出てきています。

 ちなみにスクウェア・エニックスといえばやっぱり疾走・ヤンキー魂です!

 クルサ的にコンセプトが「イカすぜぇ!(>u<)>」
といった疾走・ヤンキー魂ですが、みんなで夜路死苦って感じでヤンキー街道を進みましょう。(エッ? (;゜凵K)ノ マジ?)

 て、今回はファイナンスっぽい話なので、ヤン魂の話はここまでにして(笑)、
合併比率について少しお話したいと思います。
(ちなみにゲーム自体はやってませんwコンセプトが好きなだけなのでw)

 まず始めに、「合併比率とはなんじゃほい??」
って人のための解説ですが、上場企業が合併する際、
A社の株価が1000円、B社が500円であったとしたら、
買収プレミアを無視して単純に新会社の株をA株1に対して、B株0.5を割り当てれば、
対等になります。
 この1対0.5が合併比率ですね。

 しかし、もし合併比率がA社1に対してB社0.75だったらどうでしょう?
1対0.75──つまりA株が1000円の価値があるなら、
B株は理論的に750円の価値があることになります。
 現在の市場価格が500円ですから、50%もの買収プレミアが付いた事になります。

 ここで賢い人はすぐに気づいたと思いますが、
A社株を売り、B社株を買えば、合併時点でその株は同一の物になりますから、
ほぼリスクなしで50%の利益を上げることが出来ます。

 これをファイナンスでは合併比率裁定取引と呼びます。

 しかし効率的市場では、このようなリスクなしにリターンが得られる事は
基本的にはありません。
ただし、このように合併比率から利益が得られることがあるのもまた事実です。

 では合併比率裁定取引のリスクとはなんなのでしょうか?
以前、株主優待の話しでも触れましたが逆日歩がまず一つのリスクです。

 もしこのように無リスクで利益が得られる機会があったなら、
市場参加者はこぞってそれに参加するでしょう。
その結果、貸し株が不足し、逆日歩が発生したりします。
 高い逆日歩が発生すると、利益がどんどん削られるので、
その裁定ポジションが維持できなくなります。
 これがまず一番の不安点です。

 次に当たり前ですが、貸借銘柄に指定されていない株の場合だと、
一般人は信用売りを行なうことができません。
これはリスクと言うより裁定取引の限界ですね。
 その他にも合併が途中で白紙撤回されるなどのリスクも存在します。
白紙撤回されれば、基本的に損失を被る可能性が高まります。
 加藤さん(神戸大学の先生)の調査によれば日本では5%程度の確率らしいですが、
アメリカなどではもっと大きな確率で白紙撤回なども行なわれているので、
今後M&Aなどが日本でも盛んになってくれば、大きなリスク要因となるでしょう。

 しかし、裁定機会が存在すると言うのは、興味深い事例であります。
先にあげたリスクは存在しますが、良く銘柄を分析し、
逆日歩が発生しなさそう・白紙撤回もなさそう・
なのにスプレッド(差)が存在している!
 と、言う美味しい銘柄があれば、
裁定を行なうのもいいかも知れませんね。ヾ(@⌒▽⌒@)ノ

一日一回応援クリックよろしくです☆(゜ー゜*d)(b*゜ー゜)

posted by クルサ at 21:31| Comment(2) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月16日

EVAについて

 EVA(エヴァ)と聞いて
「残酷な〜天使のように〜♪」と、なった人!貴方は間違ってはいません!(笑)

 しかし今回は彩波さんとは関係のないお話です。(笑)

 ──ファイナンスの分野でEVAといえばアメリカの
スターン・スチュアート社による「EVA」と言う指標を指します。
EVAは税引き後営業利益から資本コストを差し引いて計算します。

 ちなみに税引き後営業利益と言いましたが、
厳密にはNOPAT(Net Operating Profits After Taxes)のことです。

NOPATは税引き後利益に利益調整項目や税引き後の金利を加えたものです。

 利益調整項目では、不良債権・不良在庫引当金などの増分を加算します。
この調整は会計上の利益をキャッシュ利益に近づけるためです。
 税金も当期に支払う税金にするため、繰延税金の増減を調整します。

 その他のれん代などの消却費用も加算します。

EVAは営業利益をベースに簡単に言えば、
色々必要なものを加えながら、
当期の利益を算出(当期に産み出した付加価値を測定)するものと考えてください。

 ただしここで重要なのが減価償却費は利益を生み出すために必要な経費と
考えられるので、利益に加算して計算されないことです。

一日一回応援クリックよろしくです☆(゜ー゜*d)(b*゜ー゜)


posted by クルサ at 04:30| Comment(4) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

リスク下での投資決定

 日記更新停滞気味のクルサです。(苦笑)
なんかいまいちやる気が起きないと言うかなんというか(; ̄ー ̄川 アセアセ

 今日は都内の某大学で学会があって、知り合いが報告をしているのですが、
昼過ぎまで寝てて行ってません。(苦笑)

 夕方からの懇親会だけでも行って、色々な人と名刺交換だけでもしておいた方が
いいのでしょうが、他に用事もあるので今日は行かないっぽいです。(苦笑)

 さて、そんなこんなで今日は「期待値」について少し触れてみようと思います。
期待値とは中学校や高校の数学で習う

「定数に確率をかけて、さらに全部を足す」

 ものですが、ファイナンスの分野においては基本的に期待値原理が使われています。

 しかしリスク下での意思決定には期待値原理以外の方法論もあったりします。
このリスク下と言うのは「どれぐらいの確率で、どういう結果になるのか判っている状況」
と仮定します。
つまり100%どうなるか判っている状態を「確実性下」、まったく確率のわからない状況下を
「不確実性下」と定義します。

一応今回はその中でリスク下での投資決定のお話です。

1)支配原理

 複数の代替案の中から2つの代替案に注目する手法です。
簡単に言えば1〜10案までの計画があったとします。
その中で2と3はすべての可能性下において、
すべての結果が3案の方が優れているとします。
 すると当たり前ですが、2案は消去され3案だけが残ります。
劣る案が優れている案に「支配されている(dominated)」ことから支配原理と呼びます。
 言葉は知らなくても、常識的に人が頭の中で行なっている原理ですね。

2)最有望原理

 これはもっとも高い確率に発生する結果だけに注目する方法です。
例えば、70%の確率でAが起こるとします。
するとそれ以外の確率で起こる結果を無視し、70%の確率で起こるAを
その計画の結果としてそれ以外の計画と比較します。

3)希望水準原理

 これは最低限必要な結果がどの程度で起こるかを比較し、確率の高い案を
採用する方法です。
例えば30%の確率で100円儲かるとします。そして50%で120円、20%で80円とします。
 希望水準が100円とすると、80%がこの案の確率です。

 次に20%の確率で200円、50%の確率で150円、30%の確率で80円とします。
すると希望水準が100円だと確率は70%となり、希望水準原理では前述の案を
採用となります。

一日一回応援クリックよろしくです☆(゜ー゜*d)(b*゜ー゜)
posted by クルサ at 16:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月07日

NPVについて

 リアルオプションの話しでも少し触れましたが、NPVはファイナンスの用語で、日本語で正味現在価値と呼ばれるものです。
これは将来の貨幣価値を現在の価値に戻して比較するもので、企業の投資決定において無くてはならないものです。
 たとえば今、誰かから100円受け取れる権利があるとします。
さらにそれとは別に1年後に100円受け取れる権利があるとします。
 どちらも同じ100円だから、その価値も同じでしょうか?
いいえ、そうではありませんね。今100円もらえば貯金してその利子を受け取れます。
つまりその分だけ今の100円は1年後の100円より価値があることになるのです。
 この利子率のことをリスクフリーレートと呼びます。(リスクなしで受け取れるお金だから)
一般にリスクフリーレートは10年もの国債を参考に計算しています。
 もしリスクフリーレートが10%であるなら(ファイナンスの教科書では計算しやすくするため10%とか5%とかの数値を使いますが、現実にはもっと低いですよね(@.@))
一年後の100円は以下の式で表されます。

100/1+0.1≒90円

 つまり今の90円と一年後の100円が同じ価値と言うことです。
これを企業の投資の話で考えると、現在85円の投資で一年後に100円のリターンがあるなら、
−85円+90円=5円で、その投資は実行すべきものになります。
逆に85円の投資で90円の利益にしかならないのであれば、85>90/1.1であることから、その投資は見送るべきです。

 ものすごく簡略して言えば、このNPV法によって求められた値がプラスになれば投資、マイナスなら投資見送りが基本です。

注 実際にはリスクフリーレートにリスクプレミアを加えたもので計算します。

posted by クルサ at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月28日

リアルオプションについて

 リアルオプションと言う言葉を皆さんご存知でしょうか?
クルサの周りではリアルオプションという言葉は比較的常識的に使われていますが、最近知名度がだいぶ向上しているとはいえ、一般のファイナンスに疎い人はよく知らない(or名前だけなら聞いたことある)と言う人も多いと思います。
 学問的には非常に難しい分野で、完全に理解しようと思ったら大学院レベルの数学と経営学の知識が必要になると言われています。そんなわけで、この分野を研究するのはひじょ〜〜〜〜〜〜に大変なのですが、この基本概念と言うものはとてもシンプルで実社会に役に立つものだとクルサは思います。
 まず初めに「リアルオプションとは何?」ですが、これは普通の「オプション」の理論をベースにしたものと考えるのが簡単でしょう。
つまり「選択権(オプション)には価値がある」と言うことです。
 ファイナンスの教科書風に言うと、
企業には「参入オプション」、「撤退オプション」、「延期オプション」、「縮小オプション」、「拡大オプション」・・・・・・etcなどの様々なオプション(選択肢)が存在します。そしてオプションには価値があるので、その価値を測定しようと言う感じです。
従来型のNPV法やDCF法を発展させたものなのですが、従来はこの「選択肢」と言うものの価値は測定できませんでした。
 まあ細かい計算の方法など、難しい話は今回は置いときまして、この「オプションには価値がある」と言う概念は理解頂けたでしょうか?
実はこれは実社会に置いて、非常に役に立つ概念です。

続きを読む
posted by クルサ at 03:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月27日

ROEについて

 前回ROAの話をしましたが、今回はROE(Return on Equity:株主資本利益率)と言う指標について少し話したいと思います。ROEは株式投資を行なう際に重要視される指標の一つで、ROAより知名度は高いかも知れません。
 ROEは読んで字の通りですが、株主資本がどのように効率的に利用されているかを測る指標で、一般に欧米に比べ日本ではこの数値が低いとされています。
そのため経営上この指標を改善することが、多くの企業の目標にも設定されています。
 ROEを簡単に表すと

ROE=当期純利益/株主資本(式1)

なのですが、これをもう少し分解すると次の式に書き換えられます。

   =当期純利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/株主資本(式2)

一見難しそうに見えますが、分子と分母で売上高と総資産は消えて、結局展開すると式1と式2は同じものだと言うことが判ります。

 しかし、ここで大事なのはROEは上記「3つのレバーに分解可能」と言うことです。
つまりROEを向上させるためには、具体的にその3つのどれかを向上させれば良いと言う事になります。
 当期純利益/売上高は、一般に売上高当期純利益率といい、どれだけ利益率の高い製品・サービスを販売しているのかの指標になります。(つまりより利益率の高い商品を売ればこの値は改善される)
 次に売上高/総資産ですが、これは一般に総資産回転率と言います。
これは簡単に言えばどれだけ資産を有効に活用しているかの指標で、当たり前ですが資産が少なく売り上げが多ければ多いほど、より効率的に資産を活用しているとなります。(200億の工場で10億売り上げるより、20億しか掛かっていない工場で10億売り上げた方が優れていますよね?)
 以上2つは直感的にも、どちらも高い方が優れた企業だと言うのは実感できると思うのですが、実は3つ目のレバーはやや先の2つとは異なります。
 総資産/株主資本は財務レバレッジという言い方をよくされます。
資産とは資本+負債のことですから、簡単に言えば「負債(借金)をすればするほど財務レバレッジは高くなる」と言うことなのです。
 まあ専門的に言うと色々ややこしいのですが、ここはごく単純に、

「負債(借金)」が多い企業に対し皆さんはどんなイメージを持ちますか?

 おそらく「倒産しそう」とか「やばいのでは??」とか負のイメージを持たれると思います。ファイナンス的には実は一概にそうとも言えず「最適資本構成を求める」のは難しい作業です。(負債はやっぱりあった方がいい。ただし多すぎるのも危険)
 ですが、今回はその辺りの難しい話は脇において置きます。

 もう一度式2に戻ると、
この式では単純に借金をすればするほど、ROEは改善されてしまいます。
ROEの数値だけを見ていては気づかない落とし穴がここにあるともいえます。
 ROEは重要な指標ですが、単純に上面だけではなく、どういう中身で改善・構成されているかにも注意が必要です。

posted by クルサ at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月25日

行動ファイナンスの話し☆

 さて本日も行動ファイナンスの話です。さらに題材は加藤氏(2003)の論文より引用させて頂いています。しかもこれまた古典的なジョークの話です。
 ちなみに認知心理学はクルサの専門ではありません。ついでに言うと心理学ってあんまり好きじゃなかったりします。(笑い)いや、どうも概念的問題でねf(^−^;
まあ、と言うことでクルサ的行動ファイナンスコーナー(←なにそれ?!)の開幕です。

 あなたがある晩、暗い道を歩いていると、街灯の
下で探し物をしている男に出くわしたとしよう。ち
ょっと気になったあなたが何を探しているのか、と聞
くと、男は大切な指輪を落としてしまったと言う。
可哀そうに思ったあなたが、一緒に探してみるが、
なかなか、見つからない。あなたは探す範囲を限定し
ようと、街灯のどちら側で落としたのかをその男に
聞いてみた。すると男は、落としたのはここではなく、
20メートルほど先の暗がりだと言うではないか。
一生懸命探していた自分が馬鹿らしくなって、その男
になぜ落とした場所を探さないで、こんな街灯の下
を探しているのかと怒鳴った。すると男はまじめな
顔で、ここの方が明るいので、探し物をするには適
していると思ったと筈えた。

 これまたよく判らないジョークのような話ですね。(苦笑)
単純に考えれば指輪を落とした人の事を「おバカだなぁ」とか思う人が多いと思います。
リネで例えるとドラゴンバレーケイブで落としたアイテムをドラゴンバレーで探すようなものです。つまり落とした場所で探さないと言うことは、あらためて言うほどのことでもありませんが、絶対に落し物は見つからないと言うことです。
 しかし、現実的に我々はこの男と同じようなことを日常で繰り返している可能性はあります。たとえばファイナンスにおけるモデルの多くが、いくつかの仮定を前提にして導かれていることは有名です。仮定を置くことによって、事象が単純化できるのが大きなメリットですが、結果として、この男と同じような間違いをしている可能性はないでしょうか?
 論文で加藤氏はこう述べています。

非現実的な仮定によって、我々の目は本質的なものか
らそらされてしまってはいないか。街灯の下がい
くら明るくても、そこで落としていないのであれ
ば、指輪は永遠に見つかることはないのである。
 シカゴ大学のFriedman(1953)は、このような
批判に対して早くから答えを用意していた。彼は、
仮定が現実的かどうかは問題ではなく、大切なこ
とは、導かれたモデルが、現実の世界をうまく説
明できるかどうかであると主張した。我々は、
ニュートン力学が正しくないことを知っている。
そして、月にロケットを飛ばすためには、アインシ
ュタインの相対性理論が必要であったことも事実
である。しかし、丸ビルを建てるには、ニュート
ン力学で十分であり、相対性理論は不要なことも
また事実である。実際、現状ではほとんどの場合、
ニュートン力学で十分なのである。現実に使える
モデルであれば、その導き方は問題ではないとい
うこの議論は、ファイナンスにおいて支持を受け、
以後、多くの実証研究がなされることになる。

 なかなか難しい話です(@.@)
この話を聞いて、皆さんはどう解釈されるでしょうか?
 現実世界において、複雑な理論を完全に理解して利用している人は極少数だと思われます。ほとんどの人が、理論の本質を理解せずに「正しいであろうから」それを利用しているのではないでしょうか?またそれで社会はある意味成り立っていると思われます。
 Friedmanの言う「仮定が現実的かどうかは問題ではなく、大切なことは、導かれたモデルが、現実の世界をうまく説明できるかどうか」は色々深く考える余地は大きいと思います。

 ちなみにファイナンスにおいては裁定理論と言うものがあり、それが無くなる(十分に行なえない)だけで効率的市場仮説は崩れます。裁定が成り立たないと根本が崩れてしまうのですが、現実には様々な障害のせいで裁定は十分に行なえないとの議論も昔から存在します。
posted by クルサ at 09:05| Comment(0) | TrackBack(1) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月24日

続・効率的市場仮説の信奉者の人の場合

 ドルフィンベイビーさん、このような稚拙なブログを見ていただき、さらにコメントまで付けて頂いてありがとうございますm(−−)m
 自分で言うのもなんですが、このブログは結構特異なブログかなと思っていますf(^−^;脈絡のない記事が続くので、ちょっぴり見られると恥ずかしい気もしたりしてますf(^−^;(苦笑)
 そんな中リネ関係の人以外では初のコメントを頂けて、とても嬉しいです☆
また良ければたまにでも見に来て下さいね☆

 それではそろそろ本題に入りまして。

──前回挙げた道端にお金が落ちている話は、実はかなり昔から色々な文献等で使われていた逸話(題材?!)です。だからこれ自体がどうこうではなく、この話をどう解釈するかによって教訓は変わってきます。
加藤教授(注1)は先にあげた例のあとに論文でこう続けています。

信じる者は救われる。たとえ1万円をもうける
チャンスを失ったとしても。ファイナンスモデル
の多くが、市場価格の動きを説明しようとするも
のである以上、市場価格そのものが経済合理性に
あったものでなければならない。そこでファイナ
ンスでは、市場価格がファンダメンタルズを的確
に反映するような市場のことを効率的市場と呼ん
で、そのような市場における価格の動きを説明し
ようと考えてきた。効率的市場では、投資家が利
用可能な情報を使ってどのような取引を行ったと
しても、継続的に超過収益(リスクに見合った以
上の利益)を得ることはできない。(注1)すなわち、
リスクに見合ったリターンしか手に入らない市場
である。これまでの理論モデルが、リスクとリタ
ーンの関係を記述するものである以上、市場の効
率性は非常に大切な概念である。市場の効率性に
関しては、これまで数多くの研究がなされてきた。
それらの研究の多くが、株式市場の効率性に焦点
を当てている。
初期の研究(1960-1980)では、弱度、準強度
の市場の効率性は支持されていた。例えば、テ
クニカル分析に基づく投資戦略は、リスクに見合
った以上のリターンを上げることはできなかった
し、利益情報、配当情報、株式分割の発表に対して、
株価は瞬時に反応していた。1980年代初め、筆者(当然加藤教授)
が大学院で学んでいたころは、市場の効率性に関
して疑問を挟む余地はなかったし、市場の効率性
はファイナンスの大前提であったと言ってよいだ
ろう。そこでは、証券のリターンを決めているの
はリスクであり、それは、CAPMのべータによっ
て表現されていた。CAPMの世界では、すべての
証券は証券市場線上にあり、証券市場線はシステ
マティックリスクを、資本市場線はトータルリス
クを表していた。リスクと言ったとき、CAPMが
ファイナンスのテキストの中心を占めていた時代
である。

 つまり、この例と言うのは一概に「伝統的ファイナンス論者」を揶揄したものとは言えないかも知れませんね。
元々この話をどう解釈するかは、その立場によって変わってくるのですが、少なくとも効率的市場仮説と言うものは従来支持されてきましたし、クルサも支持しています。
しかし「道に1万円落ちている情報」と言うものは、インサイダー情報で無い限り、継続性はありません。

「効率的市場では、投資家が利
用可能な情報を使ってどのような取引を行ったと
しても、継続的に超過収益(リスクに見合った以
上の利益)を得ることはできない。」

 とあるように、効率的市場仮説が想定する市場では一万円は(語弊があるかも知れないけど)落ちてはいないのです。なぜなら裁定理論で、もしそれがあっても、瞬時にそれは打ち消されるからです。

 ただし、行動ファイナンスの分野においては、ドルフィンさんのおっしゃっているように「一万円がおちているかもしれない」から

「市場を監視して、1万円が
落ちていれば、投資しろ」

 との考え方も成り立ちます。
行動ファイナンスは、伝統的ファイナンスで仮定されているように「投資家がすべて合理的に行動する」との前提に立っていません。
つまり多くの投資家がなんらかの「バイアス」などの影響を受け、合理的に行動していないと考えています。
 そうなると効率的市場仮説は否定されるわけで、非効率的市場仮説となります。
非効率的市場仮説では、「道端に1万円が落ちている」可能性もあるわけで、そうすればそれを探して拾う(=投資する)のが正しい選択になります。

 ドルフィンさんが20年前に勉強されていた頃は、おそらくまだ行動ファイナンスと言う言葉がそれほどメジャーではなかった頃ではありませんか?
察するにその状況下で最新の行動ファイナンスをドルフィンさんは学ばれていたのではないかなと思います。

 効率的市場仮説の下では「市場を監視していて、もし1万円を発見」しても、それは瞬時に消えてしまうもので、投資機会はほぼないと考えられます。(注2)


注1 加藤英明(2003)「市場の効率性と行動ファイナンス」、『証券アナリストジャーナル』2003年2月 日本証券アナリスト協会。
この論文を書いた時は筑波の先生でしたが、今は神戸大学大学院におられます)

注2 現在この伝統的ファイナンスのモデルと、行動ファイナンスのモデルで様々な実証研究や理論研究が進んでいます。したがって、現在はどちらが正しいかと言うのはまだ決定していません。ただし、やはり金融機関などの機関投資家の間では伝統的ファイナンスモデルを使っている人が多い模様です。伝統的ファイナンスではアノマリーを「リスク」として取り込み、消滅させる手法で研究が進んでいます。一方、行動ファイナンスでは認知心理学を利用し解明しようとしています。

参考文献
Kahneman, D, and Amos Tversky,(1979)”Prospect theory : An analysis of decision under risk,”Econometrica 47,pp.263〜291.
Kahneman,D, and Mark W.Riepe,(1998)”Aspect of Investor Psychology” journal of Portfolio Management, summer.
加藤英明(2003)「市場の効率性と行動ファイナンス」、『証券アナリストジャーナル』41(2)pp.22〜32日本証券アナリスト協会。
加藤英明(2004)『天気と株価の不思議な関係』東洋経済新報社。
俊野雅司・首藤惠(2004)「国内機関投資家の行動的バイアス」、『国民経済雑誌』、190(1)神戸大学経済経営学会。

【DuHanoi】華やかなお洒落さんの味方!鮮やかなバッグ・帽子・アクセサリーのご紹介

posted by クルサ at 14:19| Comment(2) | TrackBack(2) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月23日

効率的市場仮説信奉者の人の場合

 さて、皆さんは雑誌(専門用語で学会誌などの事を指す。決して週刊誌などのことではない(*゜▽゜)*。_。)*゜▽゜)*。_。)ウンウン)などで紹介される論文を読んだことはあるでしょうか?まあ、その専門の分野にもよるのですが、大概の人にとってあまり面白い内容とは到底思えないでしょう。
しかしそんな中、一つの面白い論文を発見しました。証券アナリストジャーナルの2003年2月号に掲載された論文で、筑波大学の加藤教授の書かれたものです。
 その中で加藤教授はこのような例で、効率的市場仮説論者を表現しています。

効率的市場信奉音であるファイナンス研究者が、
銀座を歩いていたら1万円札が落ちていた。彼は、
心の中で自問自答した。こんな場所に1万円札が落
ちていたら、誰かがとっくの昔に拾っているに決ま
っている。市場は効率的にできているはずであるか
ら、こんなおいしい話が転がっているはずはない。
何かの間違いだ。きっと自分は夢を見ているか、
自分の目がおかしいかどちらかだ。そう自分に
言い聞かせて、効率的市場信奉者はその場所を
立ち去るに違いない。

 これを読んだ瞬間思わず笑ってしまいました。
効率的市場仮説と言うのは、簡単に言えば新規の情報は瞬時に織り込まれると言うもので、
つまりこの場合だと、1万円が落ちていたらすぐに誰かが拾うから、そこに落ちているというのは「ありえない」現象なのです。
 しかし現実的にはあるかも知れませんよね?
これが行動ファイナンスと言う分野です。
 伝統的なファイナンスでは裁定の概念などから、リターンはリスクに依存するという考え方が一般的でした。(リスクが高ければ高いほどリターンも大きい)
それはそれで直感的に皆さんも理解できるでしょうが、(リスクが低い預貯金などはリターンも低い等)この考え方にはすべての参加者は合理的な思考を持つという前提が必要になります。もう少し言えば、合理的でない参加者は合理的な参加者に淘汰されると言った感じです。
 しかし前回述べたように参加者にはアノマリーが存在するのもまた事実です。全ての参加者が合理的行動をとるわけではなく、多くの場合様々なバイアスの影響を受けます。
 一般的に市場では個人投資家がバイアスの影響を受けて非合理的な行動を取り易いと言われてきましたが俊野さんなどの研究によれば機関投資家においてもなんらかのバイアスの影響を受けている可能性が高いそうです。

【DuHanoi】華やかなお洒落さんの味方!鮮やかなバッグ・帽子・アクセサリーのご紹介

posted by クルサ at 11:57| Comment(3) | TrackBack(1) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

行動ファイナンス

 長年ファイナンスの分野では、CAPM などに代表される数学的に美しい理論が研究の中心であった。投資家は常に合理的な行動を取り、新規の情報は市場で瞬時にそれを株価に折り込むという効率的市場仮説などが構築されてきた。しかし現実には、発生原因の特定できない現象も多数発生しており、それらを総じてアノマリー(anomaly)と呼んでいる。
 アノマリーは日本語で例外などと訳されるが、アノマリーの発生は多岐に及んでおり、伝統的ファイナンス理論ではすべてを解明できないのではないかと言われ始めている。
 そのような背景の中、登場したのがTverskyやKahnemanなどにより提唱された行動ファイナンスである。(Kahnemanはこの行動ファイナンスの分野を立ち上げた功績から、ノベール賞も受賞した)
Kahneman&Tversky(1979)において提示されたプロスペクト理論は伝統的なファイナンスの期待効用理論に対する代替的な選択モデルの構築を目指したものである。
 ちなみにリネージュの中にもプロスペクト血盟という名前のクランがあるが、おそらくまったく関連は無いものと思われる。(笑)ただし、スペルは確か同じはずである。(もし期待効用理論に対するモデルとして作られた血盟だったらごめんなさいm(−−)m)

posted by クルサ at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月21日

ROAについて

 企業の状態を測る物差しの一つとして「ROA(Return On Asset)」と言う指標があります。
これは日本語に訳すと総資産利益率などと訳し、呼んで字の通り総資産を用いてどの程度の利益を企業が上げたのかを示す指標です。
具体的な式は以下の通りです。

総資産利益率(ROA)=利益÷総資産

 実にシンプルな式ですね。単純に利益を総資産で割れば簡単にROAは求められます。
ただしここで気づいている人もいると思いますが、単純に「利益」と言っても利益には様々な段階があります。
 本業で上げた利益を営業利益、営業利益に営業外収支(受取利息や金利など)を加えたものを経常利益。そして経常利益に特別利益や損失を加えたものが税引き前当期純利益です。(そこから税金を払ったものが当期純利益になる)
 この中でも営業利益は本業の成績を表すもので、会計操作が難しいことから、最近ではROAの算出に営業利益が用いられることが多いです。

またROAは、次式のように書き直すことも可能です。

ROA=売上高営業利益率×総資産回転率

つまりROAはどれだけ高い収益性を持っているかと、どれだけ資産を効率的に使用してるかの2つのドライバーから構成されているのです。
したがって企業がROAを高めるためには、このどちらか(もしくは両方)の数値をあげれば良く、どちらを重視するかはその企業の戦略に依存しています。

 企業を評価する際、ROAの数値だけではなく、このように当該企業が得意とする分野を分析するのもいいかもしれませんね。
企業人の方は、自分の会社が収益性と効率性のどちらが優れていて、どちらが劣っているかを把握すれば、ROAの向上へ一歩近づけると思います。

 ちなみに産業再生機構による再生が行なわれているダイエーは、財務諸表を見ればすぐに判るのですが、総資産回転率においてはイトーヨーカ堂と大差ありません。しかし売上高営業利益率においてはかなりの差をあけられており、その結果ROAもイトーヨーカ堂に大きく水を開けられています。
この点からもダイエーの弱点はよく言われているように、薄利多売の戦略から生じる利益率不足にあるのが判ります。

posted by クルサ at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ファイナンスっぽいこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。